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『何かを途中で辞める』

これは人間の世界ではあまりポジティブな意味として捉えられることはありません。

大学を中退した事実も、その背景には様々な人間ドラマがありますが、それでも就職の土俵に立てばただ

『大学を中退した事実』

しか残らないため、基本的にはネガティブなイメージを残しやすいです(特に履歴書など文字に残す場合)。

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とはいえ、この大学中退の事実を隠して就職をすることで起こる最悪の事態も想定されるため、経歴を詐称して就活をするのも危険です。

なのでここでは、大学を中退してしまった事実をしっかりと相手に伝え、尚且つその事実を伝えた上で相手側にネガティブな印象を与えない具体的な対処法について詳しくお伝えしていきます。

大学中退の経歴は、結局『理由』さえ相手に伝われば大してネガティブな要素になりませんからね。

消したい過去『大学中退』は履歴書に書くべきなのか?

まず結論をお伝えすると、大学を中退した過去はしっかりと履歴書に書く必要があります。

就職では『その人がどのような経歴を経てきたか?』を知りたいため、履歴書に書かれている情報源を参考にして、面接でその人自身の背景のストーリーを掘り下げていきます。

前提として、企業が求めているのは

『会社側に利益をもたらす人材』

ですから、この経歴の部分を履歴書でチェックして

その人材は企業が求めている能力を持っているのか?
どんな資格や学歴を持っているのか?
会社で働き続けることができる強い動機があるか?

この辺りを見分けていきます。

人によっては大学中退は『消したい過去』かもしれませんが、これを隠すことは最終的に自分自身にとってデメリットにしかなりません。

中退したことは就活にどれくらい影響するの?

とはいえ、大学中退者からしたら、履歴書に『大学中退』の事実を書くことはできれば避けたいのが本音だと思います。

補足

中退が就活に及ぼす影響に関しては企業側の判断基準によっても変わってきますが、求人情報では基本的に『高卒以上』『大卒以上』この括りで人材採用をするため、大学中退の事実があった場合は、シンプルに『高卒以上』の括りに含まれます。

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つまり与える影響としては『大卒以上の求人に応募できない』ことが一番に挙げられます。

それに加えて、企業側が求める人材は『会社の利益に最大限貢献してくれる人』ですから、この『中退』の経歴を見た時に、企業側は必ずその中退の理由を掘り下げてきます。

なぜなら、中退の理由が安易なものだった場合

『正社員として雇っても途中で辞める可能性がある』

このリスクを必ず想定するため、納得のいく理由を企業側に提示する必要が出てくるのです。

これは自分が『雇う側』に回れば、誰もが必ず同じことをするでしょう。

中退が就活に与える影響

学校を途中で辞めた事実は、企業側は『自社の利益に貢献できる人材』を見分ける枠の中で判断します。

中退する=途中で物事を投げ出すリスク(早期退社・仕事への熱意)を想定するため、これらの要素が感じ取れて企業に不利益をもたらしそうな場合は中退の事実が就活に悪影響を及ぼします。

中退した事実を採用担当者に伝えた場合、その担当者の頭の中には

『どうして学校を中退をしたのか?(中途半端な理由で辞めてないか)』

『その中退が自社にどのくらい影響するのか?(すぐ辞めるリスク)』

『中退の事実を抱えた上で自社にどれだけ貢献してくれるのか?』

この3つの疑問を解決するための質問をしてきます。

つまりこの質問に対して、採用担当者が納得できる回答+自分の強みやスキルを上手にプレゼンできれば、中退の事実があったとしても就職で不利になることはそこまでありません。

大学中退の事実を履歴書に書かないで隠した場合の最悪のリスク

もし仮に大学中退したことを経歴に残していない場合、就職する際にどのような不利益が起こるのでしょうか?

学歴詐称

自分の経歴を『少しカサ増しして盛る』と、当然学歴詐称になります。

大学に通ってはいたため、中退ではなくそこを『卒業』に変えてしまったら、当然学歴詐称の罪に問われる可能性が出てきます。

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ちなみに学歴詐称は法律上では『軽犯罪法違反』になるため、偽造公文書などの罪に問われる可能性があります。

自分の人生を変えるために就活をしたのに、ちょっとした経歴の違いが前科者になるリスクを生み出しますので、これは注意しておきましょう。

面接での矛盾

自分の経歴を隠せば、当然そこを追及された時にありもしない自分の過去のストーリーを作らなければ辻褄が合わなくなります。

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とはいえ、前提として面接をしてくる相手はプロになりますから、よほど嘘が上手くない限りは学歴を隠すことは面接の段階でボロが出ます。

履歴書を見ると分かりますが、そこにある学歴欄は『学校名』の横に卒業・修了と書かれており、基本的には『修学区分』で書くことになります。

このルールを守らずに書かなければ、当然面接でそこを追及されますし、嘘の事実を記載すれば、先ほど紹介したように学歴詐称になります。

企業側は、企業に対して悪影響を及ぼす人材を採用しないためにあらゆるリスクを取り除きます。

ちょっとした矛盾がある人材を積極的に採用する企業は基本的にありませんので、完成していない部分を作らないことが面接突破の鉄則でもあるのです。

具体的な大学中退の書き方について

大学中退の事実は必ず履歴書に記載する必要がありますが、書き方自体はシンプルで問題ありません。

○年○月 ○○高等学校 卒業

○年○月 ○○大学 ○○学部 入学

○年○月 ○○大学 ○○学部 中途退学

退学の理由(家庭の事情により退学)

基本的なことではありますが、中退と書くのではなく『中途退学』にすることで相手側に丁寧な印象を与えることができます。

注意点

中退は学歴としては認められていませんが、修学区分の欄に記載しましょう。

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履歴書に中退理由を記載しておくと、必ず面接時にその中退の事実を掘り下げる質問が来ますので、必ず事前に回答を考えておく必要があります。

面接官『なぜ大学を中退したんですか?』←この質問に対するベストな対処法!

履歴書に『中途退学』の文字があれば、面接官は必ずこの部分をしっかりと掘り下げてきます。

途中でもお伝えした通り、採用する人材の中途退学の過去は

『会社側に悪影響を及ぼすリスクがある』

ため、ここでのモヤモヤを面接の段階で払拭できない限り、企業側が採用の手を差し伸べることはありません。

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逆に言ってしまえば、ここで採用担当者側に中途退学の理由を論理的に納得してもらうことができれば、学校を中退した過去を持っていても採用の扉はこじ開けられます。

中退経験者にとって恐怖とも言える質問

『なぜ大学を中退したのですか?』

この対処法として頭に入れておくべきことは、大きく3つあります。

まず明確な退学理由をはっきりと伝える

面接で好印象を残すポイントとしては

『聞かれたことに対してははっきりと理由を添えて伝える』

これは前提条件になります。

大学を中退した事実は書類の段階で相手に伝わっていますから、面接では高い確率で『その中退した理由』を掘り下げてきます。

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ここで『なぜ大学を途中で中退したのですか?』と聞かれた時に一番印象が悪いのは『何かを隠そうとすること』です。

特に大学中退の理由が

  • 単位を落としてしまった
  • 大学がつまらない・大変だったから辞めた
  • 特に理由もなく辞めた

このようにあまり相手側に知られたくない事実だったとしても、聞かれたことに対してははっきりと伝えるべきです。

補足

どうしてもプライベートなことを突っ込んでくるような面接官に対しては、落ちる覚悟で答えないことも一つの手段です。

最近では面接でもそこまでプライベートな質問をしてくる企業はありませんが、もし質問された場合には、できる限り中退の理由を相手に伝えましょう。

中退理由に関しては必ず『ポジティブ』は説明で返す

そして、採用担当者が中退の理由を掘り下げる理由は結局のところ

『その中退理由が就職後に企業側にネガティブな要素として跳ね返ってこないか?』

ここを心配しています。

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つまり、前提として質問された段階で中退した事実の背景にあるネガティブな情報を確認しておきたいと考えているのです。

そこで中退理由をはっきりと伝えたとしても、それがネガティブな理由だと間違いなく企業側に悪い印象を与えます。

そうならないためにも、中退理由を聞かれた場合には

『ポジティブな視点』

でこの中退の事実を切り返す必要があります。

▼経済的な理由で中退した場合(やむを得ない退学)

→父親の会社の経営が傾いたため、通っていた大学を中退しました。ですがそこで教育学を学んでいたため、中退した後は教育系のアルバイトをしながら就職活動をしています。

▼他にやりたいことができて中退した場合(目的ある退学)

→大学在学中に語学留学を経験し、そこで海外で英語を使いながら働く楽しさに気づき、通っていた大学を中退してアメリカに留学をしました。

▼ネガティブな理由で中退した場合(表に出したくない退学)

大学に数年通っていましたが、学生生活に充実感を感じることができずに退学しました。

その後アルバイトをいくつか経験し、そこでIT系の派遣の仕事にやりがいを感じ、その業界に興味を持つことになりました。

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退学の理由がネガティブだったとしても、その後にどのような文言を付け足すかによって印象がガラッと変わります。

あらゆる深掘りの質問を事前に想定しておく

大学中退の事実が履歴書に記載されていれば、当然相手側はその理由を掘り下げてきます。

その質問はある程度想定できますが、問題は『その後の深掘りの質問』を想定しておくことです。

退学理由を相手に伝えたら、その後に来る可能性の高い質問として考えられるのは

中退以外の選択肢をなぜ取らなかったのか?
中退した後の空白期間は何をしていたのか?
なぜアルバイトを続けていたのか?
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自分が答えた大学中退の理由によって、この次の質問はある程度予測できます。

金銭的な理由で退学を決断したのであれば

  • 現在の家庭状況はどうなのか?
  • 奨学金制度を利用することは難しかったのか?
  • アルバイトをしながら大学は続けられなかったのか?

このような質問が想定されますし、ただ大学に充実感を感じれず辞めた場合には

  • この先も同じようにやりがいを感じれない仕事は辞めるのではないか?
  • 仕事は大学よりも大変だが問題ないのか?
  • 退学後はどんな生活をしていたのか?

自分が答えた質問に対しての次の質問はある程度リストアップできます。

この質問は必ずしも聞かれるものであはりませんが、大切なのは

『ちゃんと質問に対して回答する準備をしているか?』

です。

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相手は粗探しをしてくるのではなく、あなた自身をちゃんと知りたいのです。

これらの受け答えの準備をしておくことで、大学中退というネガティブな材料を持っていたとしても、それを上回る魅力を数十分のコミュニケーションの場でアピールできるのです。

大学中退を負い目に感じる必要は一切ない

大学を中退した事実に関しては、当事者にしか分からない劣等感や負い目が必ずあります。

基本的には大学中退の事実をポジティブに受け止めてくれる環境はないため、大学中退の事実を引っさげて就活をする場合には

『中退した事実を上回る自分の魅力』

を相手側に伝えなければなりません。

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これができなければ、当然中退の事実はネガティブな要素として受け取られるわけです。
補足

ただ、少し視点をずらして考えてみると、現代の社会では大学をきっちり4年間通って卒業した人であっても、結局社会人の平均年収の中央値は400万円前後です(手取り20〜30万程度)。

大卒で会社に雇われて、高卒よりも高い生涯年収を稼げたのは数年前の話。

現代は『終身雇用制度の崩壊』『定年退職制度の限界』など、昔では考えられなかった社会が到来しています。

これが意味するものは、シンプルに言ってしまえば

『これからの時代は社会に貢献できる人間が評価される時代』

になります。

確かに現代もMARCH以上の大学を出ている高学歴であれば高い収入を得やすいです。

しかしそれ以外は基本的には横一線。

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正直、Fラン大学を卒業したくらいで高収入を取れるような時代では無くなっています。

つまり、大卒の肩書きを持っている人でも稼げない人が多い時代では、社会に出てからの成長度合いでいくらでも収入を上げることはできるのです。

結局は『社会に出てからどう生きるか?』これが今の時代の収入の明暗を大きく分けることにつながりますからね。

くれぐれも中退の事実に悲観して人生を棒に振らないようにだけ注意しておきましょう。

まとめ

就職活動の世界では、自分というのはある意味一つの『商品』です。

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大学中退の肩書きは、その商品の価値を下げる要素にはなってしまいますが、結局は『商品をどれだけ魅力的に見せることができるか?』によって説得力が変わってきます。
  • 中退の事実を隠してこっそり採用されようとするズル賢い人
  • 中退の事実をはっきり伝えて尚且つ自分を魅力的にアピールしてくる人

この両者がいた場合、選考の段階で輝けるのは後者です。

最低限履歴書・面接のポイントさえ押さえておけば、あとはプラスαの要素をどれだけ自分の口からプレゼンできるかが全てです。

これから就活する際には、大学中退の事実を堂々と履歴書に書いてやりましょう。

そしてそれを上回る自分の魅力を企業に売り込んでやりましょう!

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