人間誰しも、大人(学生時代が終わった瞬間)になれば必ず『仕事』をしなければなりません。
とはいえ、学校で勉強をした後にいきなり

そう先生に告げられても、そもそも学校では勉強しか教わっていないため、やりたいことが明確になっている学生なんて1%もいないはず。
そんな中、99%は別にやりたくもない仕事をなんとか捻り出して就職するのがこの世の中の現実。
多くの大人が『仕事はつまらない‥』そう話す理由も、この現実を理解すれば全く不思議なことではないことがすぐに分かります。
- 人のためになる仕事をしなさい
- 好きなことを仕事にしなさい
- 人に誇れる仕事をしなさい
- 安定している仕事をしなさい

つまりこれらの発言はあまりアテにならないということです。
なのでここでは、フリーター・ニート・社会人・独立・フリーランスなどのあらゆる経験をしてきた私が、自分の経験を踏まえながら
『仕事選びの基準』
について綺麗事抜きでお伝えしていきます。
多くの方が話していませんが、実は仕事選びをする場合、表面的な綺麗事の部分よりも何倍も重要な要素を満たさなければ良い仕事には出会えません。
今回の内容を読めば、その表面の部分ではなく、仕事選びで本当に大事にすべき要素が明確になることでしょう。
目次
仕事選びをする際に一番重要視すべき要素

とりあえず最初に結論をお伝えしておくと、仕事選びで真っ先に満たすべき要素は『欲求』です。
よく仕事選びの基準で出される要素として
- 本当に好きな仕事かどうか
- 一生その仕事をできるかどうか
- 自分に向いてる仕事かどうか
- 社会貢献できるかどうか
必ずと言っていいほどこれらの要素が挙げられますが、これは結局一つの『ポジショントーク』でしかありません。
例えば

この発言をしている先生がいたとします。
その先生が話していることは、一見ちゃんとしているように聞こえますが、実際は『仕事の最低条件』を満たした上でこの発言をしているのです。
まず、学校の先生の仕事は以下の要素を満たしています。
・そこまで高くはないが、公務員で安定した収入が得られている
・リストラの心配がほとんどない
・一生できる仕事である
つまり、表現を変えれば
『誰よりも安全な場所から周りに対してアドバイスをしている』
ため、この立場の人の発言を全て鵜呑みにするのは危険です。
仮に学校の先生から『本当に好きな仕事を選びなさい』とアドバイスを受けた生徒が、それを真に受けて

その進路を選んだらどうなるかは想像できますよね?
逆に他の先生から
『安定した仕事を選びなさい』
そう言われた生徒が

と判断して公務員になれば、それは『好きなこと・やりたいこと』の条件は満たしていません。
仕事選びのアドバイスというのは、基本的に発言している人のポジショントークが必ず含まれています。
学校の先生ではなく起業家に対して
『仕事選びのポイントは何ですか?』
と聞けば、間違いなく『安定』の言葉が出ることはないです。
それらを考えると、仕事選びで誰かのアドバイスを鵜呑みにするのは自分の人生のリスクを上げることにもなるのです。
自分の仕事選びをする際に、周りのアドバイスを受けたいと考えてしまいますが、最初に周りの人の言葉を鵜呑みにするとその人の思想・価値観に引っ張られやすくなります。
仕事選びは『欲求』から考える

ちなみにこの記事に関しても、間違いなく
『私自身のポジショントーク』
が含まれていますので、あくまでもこの内容は
『仕事選びの一つの参考』
として考えておいてください。

先生や親、友達や仕事仲間からの仕事選びのアドバイスに関しては、基本的にポジショントークが含まれているとお伝えしましたが、この根底にあるのは
『自分が満たされている欲求の段階』
です。
これは心理学者アブラハム・マズローが提唱している理論
『マズロー欲求5段階説』
を紐解いていくと分かります。
マズロー5段階説について

心理学者アブラハム・マズローは
『私たち人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物』
と仮定しており、このマズロー5段階説は人間の欲求を5段階に理論化したものになります。
つまり、この5段の中にある一つ下の欲求が満たされると、次の欲求を満たすための心理行動を起こすのが私たち人間だということです。
これを『仕事選び』の視点から考えてみましょう。
生理的欲求
まず一番下にある『生理的欲求』は
これらの『生命の維持』をするための欲求。
これを満たすことができなければ、自分の命を守ることができないため、マズロー5段階説の中でも最下層に位置しています。
これを仕事選びで考えるならば
- とりあえず最低限食っていけるお金が稼げる仕事
- 体を壊さない無理のない働き方ができる仕事
この辺りの条件を満たす仕事が挙げられます。
例えば、収入は少ないけど最低限食べるには困らないフリーターや、派遣として食いつないでいる働き方が当てはまります。
多くの人間が仕事選びの際に


そう断言しない理由は、結局働き方の欲求の中でも『最下層』に位置する生理的欲求を満たすための仕事になるからです。
ここが満たせない場合、日本では『生活保護』のライフラインを利用することになります。
安全欲求
生理的欲求が解消されれば、次はこの安全欲求を満たす行動を起こします。
安全欲求は、つまり『安心・安全に暮らすための欲求』であり
- 事故に対する保険
- マイホームでの安心した暮らし
- 安定した仕事
これらを満たすことを考えます。
仕事で考えると、一番分かりやすいのは『公務員』がここに当てはまるかと。
毎月安定して収入が得られて、家のローンを組むことができ、マイカーを持って保険にも入れる。

学校の先生や親が
『安定した仕事を選びなさい』
そう話す理由は、その人たち自身が安全欲求を満たす人生を歩んできたからです。
マズローの欲求で考えると、なぜその人がその発言をしているのかが理解しやすいですね。
社会的欲求
生理的欲求が満たされ、その上で安全欲求も満たされると、基本的に自分の人生に対しての『命』不安が解消されます。

人生の中で必ず『最愛の人』や『守るべき家族・子供』『会社の人間からの尊敬』など、他者から受け入れられたい欲求があります。
これが帰属の欲求とも呼ばれる
『社会的欲求』
です。
例えば、今働いている会社の給料や待遇は良かったとしても、社内で一人で孤独に仕事をし続けるだけの人生だと、この社会的欲求は満たされません。
お金の悩みを解消しても、この社会的欲求の満たせない仕事を選んでしまうと、結果的に『仕事選びを間違えた』と感じる瞬間が訪れるのです。
承認欲求(尊重欲求)
そしてこれは、いわゆる『出世』や『高い地位』を得たい時に出る欲求になります。
- 生理的欲求
- 安全欲求
- 社会的欲求
承認欲求の下に位置するこの3つは自分の『内側』を満たすための欲求となりますが、ここからは『外部』に対しての欲求に変わります。

承認欲求のレベルを高い・低いで表すと
- 承認欲求の低いレベル:尊敬・名声
- 承認欲求の高いレベル:技能の習得・自立性
レベルが高くなれば高くなるほど周りの評価よりも自分自身の評価を高めたいと考えるようになります。
フリーターとして働いていて、最低限生活に困らない生き方ができていたとしても、レベルの低い尊敬・名声などの承認欲求を満たすことは難しいため、仕事の面で劣等感を感じやすいのもこのためです。
自己実現欲求
承認欲求が本当の意味で満たされれば、そこからは
『自分が本当に求めるあるべき姿』
になるための欲求が生まれます。

自分探しの旅に出るような人が、明日食べるものに困っていることはまずありえません。
この自己実現の欲求はマズロー欲求の中でも『成長欲求』の部分に含まれるため、他者からの評価を気にする承認欲求のレベルを超えると訪れます。
マズローは
- 生理的欲求
- 安全欲求
- 社会的欲求
- 承認欲求
この4つを欠乏動機と位置付け
自己実現欲求
を『成長動機』として考えています。
つまり、欠乏動機が満たされていない状態は、自分の命に関わるピンチが訪れることになりますが、逆にこの部分が満たされると人間は飽きます。
そしてその欠乏動機の意味を忘れて、そこからは成長動機へとシフトした人生を歩み始めるのです。
お金持ちになった人が『お金を目的に働かなくなる』のは、まさにこの欠乏動機が満たされ、成長動機にシフトしている証です。
マズロー5段階説から考える仕事の探し方

人生で言葉ほどアテにならないものはありません。
どんな人がどんな綺麗な言葉を並べたとしても、その言葉の裏には必ず『マズロー5段階説』の欲求が隠されているため、最初からこの欲求を満たすことを前提にして仕事を探していくべきです。
途中でもお伝えした通り、学校の先生は
- 公務員
- 安定した給料
- ある程度の社会的地位
これらの欲求を満たしているため、
この辺りはある程度満たされています。

それがいわゆる『公務員』『大企業』などの仕事ですね。
一般社会で働く親御さんも、普通の家庭を成り立たせていれば、おそらく学校の先生と同じレベルの欲求は満たしているため、同じことを言います。
では結論として、この欲求を満たしている人たちの言うことを聞いて仕事を見つけるのが正解なのか?と問われると、基本的には
『正解でもあり間違いでもある』
というのが本音です。
欠乏動機を満たすだけが仕事ではない
安定を求めて仕事を探せば、当然最低限の生活は保証(今の時代は何が起こるか分かりませんが)されます。
つまり、最低限の欠乏動機(生理的欲求・安全欲求・社会的欲求)は満たされます。

もちろん一部承認欲求のフェーズに移行する方もいますが、それでも仕事選びを『安定』で選べば、その仕事に対しての熱量や自己成長に重きを置くことはありません。
となると、承認欲求の低いレベルを満たすために、他者からの尊敬・注目を集めるまでで止まる可能性は高いでしょう。
逆に、公務員のように安定しているとは言えないが、民間企業に勤めて自分のスキルを高めていき、そこから新しいことに挑戦するような働き方をする人たちは、マズロー5段階説のレベルの高い欲求
『承認欲求のレベル上位』
『自己実現欲求』
この2つを満たすフェーズに移行できます。
起業家や会社員から独立してフリーランスになったような人たちは、そもそも欲求の最下層である『安定』や『安全』の欲求の話はほとんどしません。

それを考えると、仕事を探す際の条件で一番に『安定』『世間体』を持ってくると、いずれ欠乏欲求のどこかで詰まります。
私の知り合いで、安定を求めて公務員として働く人、大企業で働く人が
『マジで人生めっちゃ楽しい!』
と話しているところは見たことがありません。

その人たちが満たしているのは『欠乏動機』であり『成長動機』ではないからです。
仕事は『成長動機』を満たせるものを選ぼう!

ちなみに、私は公務員や大企業などを否定しているわけではありません。
ここで一番お伝えしたいことは
『人間の欲求に素直になって仕事を探してほしい』
ただそれだけです。
安定や世間体で仕事を選ぶ行為は、結局自分のためではなく周りからの尊敬、つまり『承認欲求の低いレベル』を満たすにすぎません。

たとえ今やりたいことがなかったとしても、
- 自分のスキルを磨ける
- 今までできなかった経験が積める
- やりがいのある仕事ができる
そんな環境で仕事をすれば、気づけば自分のスキル・経験値が積み上がっていき、もっと○○してみたい!という成長動機が生まれます。
この気持ちを持つことができて、初めて欠乏動機から成長動機の段階にシフトできます。
とはいえ、現状の自分の立ち位置によってマズローの最下層の欲求を満たせない状況にいることもあるため、とりあえずまずは下から順番に問題を解決すること考えましょう。
その問題を解決してから『さぁどうやって成長動機を満たすか』を考えても遅くはありませんからね。
くれぐれも『欠乏動機』を満たすだけのつまらない仕事選びはしないように。
毎日3食ご飯を食べたい→生理的欲求
安心して暮らせる住まいが欲しい→安全欲求
彼女・彼氏が欲しい・会社に受け入れられたい→社会的欲求
周りから尊敬・チヤホヤされたい→承認欲求下層レベル
強くなりたい・独立・成長したい→承認欲求上位レベル
自分らしく生きたい→自己実現欲求




